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ダーウィンについて

今年もあと数時間で終わろうとしています。今年はバラク・オバマが米国初の黒人大統領になったというエポックメーキングな年でした。今年中に書いておきたかったことがひとつあります。

今年はチャールズ・ダーウィンの生誕200周年記念でした。1809年2月12日生まれです。各国、各地で記念行事が行われたようです。ケンブリッジ大学は、ダーウィンがキリスト教神学を学んだところでもあり、後に家族の寄付でダーウィンの名を冠したダーウィン・カレッジが設立されたところでもあるので、今年は大学付属のフィッツウィリアム博物館でダーウィン展「エンドレス フォーム: チャールズ・ダーウィン、自然科学とビジュアル アート」が開かれていました。

Darwin_lunch_IMG_1604.jpg
フィッツウィリアム博物館のダーウィン展

Darwin_lunch_IMG_1611.jpg
シーフード レストラン「Loch Fyne」の窓から博物館を望む

ダーウィン展は、『種の起源』を書いたダーウィンが自然科学に対してはもちろん、ビジュアルアートに対しても影響を与えていたということを含む内容の展示です。そのなかには性選択という話題も取り上げられていてとても興味深いものでしたが、ここではそのことについては触れません。

もうひとつダーウィン関係の話題がありました。『種の起源』出版150周年記念ということで、イギリス映画『Creation』が制作されました。クリエーション、すなわち「創造」という題名です。なにやら物議をかもしそうな題名です。

Creation.jpg

この映画の内容は、夫チャールズが研究をまとめて『種の起源』を出版しようかどうしようかと悩む姿を、妻のエマとの葛藤をとおして描いたものです。なぜ悩むのか、というのが映画の主題であり、このブログ記事の眼目です(笑)。

ご存知のように「種の起源」の考え方は自然選択(自然淘汰)です。自然が自らのメカニズムで淘汰を繰り返して現在の世界が成り立っているという、何億年にわたる進化の歴史を説いています。一方において、キリスト教の「創世記」によれば世界は神が6日間で創造したということになります。1日目に混沌とした世界に光を与えて昼と夜を作り、2日目に...。6日間で創世した神は7日目に休息をとった、つまり日曜日です。これが天地創造です。

映画「クリエーション」の主題は信仰と科学の間の葛藤です。ダーウィン説は神の創造に対する初めての科学的な挑戦です。

ここまでが背景情報です(ながーい)。

私も10月頃に地元英国で映画を見てみました。とくにセンセーショナルな作り方をしている訳ではありません。ダーウィンの業績を紹介するというより、出版の是非、娘の死、妻との葛藤などが主に描かれている内容です。科学的な議論より、感情の内面描写です。

さて、問題は「地元英国で映画を見た」という部分です。世界の各国で上映されたり上映が予定されたりしていますが、一国だけ事情が異なる国があります。アメリカ合衆国です。アメリカ合衆国ではいまだに上映されていません。最近なんとか配給権の購入を決断した配給会社がでてきたらしいそうです。なぜ上映を渋るのでしょうか。多くの観客動員を望めないからです。

このことは30年以上も前から知っていましたが、いまだに...という感を抱いてしまうほど根強いパワーが、一部の米国人の間にあります。つまりキリスト教に対する非常に強い信仰心です。世界は神が創造したという非常に強い信念です。世界創造説を信じている人たちは、ダーウィンの(というか現代科学のと言い換えるべき)進化論を否定します。このため、現在でも5つの州にある学校では、進化論を学校教育から締め出しています。

フロリダ、イリノイ、ケンタッキー、ミズーリー、ミシシッピーの5州では、公立の学校教育において、「進化論」についての言及を認めていません。(現状は流動的で、いつのデータによるかで具体的な州や内容が異なるようです。「進化」という言葉を教科書から排除したり、進化論と創世説の両方を教えなければならないなど、さまざまなようです。)日本では想像もできないような、信仰に対する強い意志があります。そのような地域が現存していて、そのように法律を執行しています。

英国紙『デイリーテレグラフ』のオンラインサイトにこの映画のことに関する読者の投稿がいまでも続けられています(ここ)。

記事のタイトルは、「チャールズ・ダーウィン映画 -- 宗教色の強い米国では物議が不可避」。

記事の内容は、「ダーウィンを扱った英国映画は、いまだに米国での配給会社が決まっていない。米国の観衆にとって進化論が一筋縄ではいかない論争の的になるからである」という書き出しになっています。

キリスト教ベースの映画批評サイト movieguide.org によると、「ダーウィンは優生学の父であり、人種差別主義者、偏見者、大量殺戮を引き起こした自然科学者である」と非難しているようです。当然ながら、映画監督のジェレミー・トーマスは「種の起源が出版されてから150年もたったいまでのそのような考え方が残っているとは信じがたい」と驚いています。

このテレグラフ紙のサイトには 956 件の投稿があります。

最初の投稿(2009年9月13日):
「この映画が私の国で上映されなかったら、私は誇りを持ってこう言うだろう <私は自分の国(アメリカ)を誇りに思わない> と。」

最新の投稿(2009年12月29日):
「3年前に米国に引っ越してきたドイツ人です。私は米国がこの映画「クリエーション」を上映しないことをはっきりと誇りに思っています(いつかは制限的には上映されるんでしょうけど)。この2009年という現代において、人々がいまだに進化論を選択肢として考えていることに驚きを禁じえません。あなたは赤ん坊を腕の中に抱いたり、美しい魚を見つめたり、花々を眺めたりしたことがないのですか。それでもまだあなたは、世界のすべてが神の知的な設計なしに存在しているとおっしゃるのですか...。考えが非常に遅れている人たちを残念に思います、古き善きヨーロッパが知的に進んでいるのではなく、進んでいるのは米国なんです。」

参考になるサイト

National Center for Science Education (NCSE)
European Society for Evolutionary Biology
Explaining the Science of Intelligent Design
Evolution News & Views
Creation–evolution controversy - Wikipedia



テーマ:つぶやき - ジャンル:ブログ

  1. 2010/01/01(金) 04:58:38|
  2. 日記
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:3
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コメント

興味深そうです

まず映画はぜひ見たいなぁって思いました。
メキシコではまだ見れないみたいですが、
キリスト教の国ではあるけれど
アメリカのような論争はないと思います。
映画そのものを「楽しむ」国だと思います。。

ルームメイトから以前、
「アメリカには未だ進化論を信じてない人が結構たくさんいるんだ」
って聞いたことがありましたが、
あまり現実的に考えられたなかったんです。
今回の記事を読ませてもらって
より具体的に現状を知ることができました。

アメリカ人は、特に日本人の私から見ると
自分の信念を貫くって言うか、時々
アグレッシブ過ぎるほど自己主張しますよね。。。
それが宗教と重なると、
よりパワフルになるんだろうなって思います。
  1. 2010/01/06(水) 22:44:17 |
  2. URL |
  3. メアリー #22UKzUiM
  4. [ 編集 ]

メアリーさん

科学は神の采配を理解したいために始まったものです。この世界は神が創造し運営しているので、天空の動きも神の意図によるもの。この天体の運行が神によっていかに調和しているかを理解したいというのが天文学の始まりです。神が奏でる天空の音楽です。そこから始まった科学が、内在する合理性によって、神の力を借りることなく、自然世界をどんどん解き明かしていくことになる。これが現在の科学です。

一方、「あなたは赤ん坊を腕の中に抱いたり、美しい魚を見つめたり、花々を眺めたりしたことがないのですか」という言葉は、とても説得力があります。私もそういう目で人生を生きたいと願うほどです。美しいものを美しいと感じる喜びです。でもこの人は何かを大変誤解しているのだと思う。比較できない2つのことを対抗させてしまっているのだと思う。

コメントありがとう。
  1. 2010/01/07(木) 07:45:05 |
  2. URL |
  3. ヘッジホッグです #hb5ArteM
  4. [ 編集 ]

いまチェックしたらコメント入力が無効にリセットされていました。
うーん、神の仕業か...
2月11日再設定
  1. 2010/02/12(金) 02:52:25 |
  2. URL |
  3. ヘッジホッグです #hb5ArteM
  4. [ 編集 ]

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